ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「大輝くん、こんにちは」
大輝くんは背負ったランドセルをガチャガチャ言わせながら、こちらにかけてきて私を見上げる。
「ねぇお姉さん! 俺この前UFO見たよ!」
「UFO?」
私が首をかしげると、大輝くんは目を輝かせて口を開く。
「サッカークラブの帰りにね、あっちのほうに明るく光る丸いのがあったんだ。あれ絶対UFOだよ!」
彼が指さす方向を見れば、西の方角。
好奇心で顔を輝かせる大輝くんがかわいくて、思わず微笑んでしまう。
「そっかぁ。でもそれ、もしかしたらUFOじゃなくて、金星かもしれない」
「金星?」
「そう。宵の明星って聞いたことないかな。この時期太陽が沈むころに西の空に光る一番星なんだよ」
「えー。でも家に帰って星座盤見たけど、載ってなかったよ」
不服そうな彼に、私は膝を軽く折って視線を合わせてうなずいた。