ホテル御曹司が甘くてイジワルです


まるでライオンに見据えられた獲物の気分だ。抵抗するすべもなく、ただ彼のことを見つめる。

清瀬さんが軽く口を開き、私の傷の上にそっと唇をはわせた。
肌に触れた温かい感触に、驚いて身をよじる。

「き、清瀬さん……っ!」
「痛いか?」

そう問われ、戸惑いながらも首を横に振る。

「痛くはないですけど、そんな醜い傷跡、気持ち悪いですよね……!?」

慌てて暴れる私を押さえつけ、清瀬さんはご機嫌の様子で私の脇腹にキスの雨を降らせる。

「気持ち悪いわけないだろ。ここに触れられるのは俺だけなんだと思うと、優越感しかない」
「優越感って……、んん……っ」

くすぐったさに交じって、甘いしびれが込み上げてくる。
思わずもれた声が恥ずかしくて、口元を手の甲でふさいで必死に吐息をこらえる。

そんな私を見下ろしながら、清瀬さんがわずかに顔を歪ませて笑った。

「そんなに可愛い反応をされたら、我慢できなくなるだろ」
「我慢、ですか……?」

呼吸を乱して涙目になっている私を、ぎゅっときつく抱きしめる。

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