ホテル御曹司が甘くてイジワルです
無邪気さがかわいいなぁ、なんてほっこりしながら指切りをして「じゃあね」と手を振る。
「お姉さん、バイバーイ!」
「サッカー頑張ってねー!」
見えなくなるまで手を振り続ける彼を見送ってから、掃除を再開する。
石畳の隙間に入り込んだ落ち葉ひとつひとつを取り除くように丁寧にほうきで掃いていると、こつりと固い靴音が聞こえた。
顔を上げると、広い歩幅で歩いてくる背の高い人影。
「あ……」
よくプラネタリウムを見に来てくれる男の人だ。
いつもはひとりなのに、今日は彼の後ろに女性がいた。
シンプルなスーツに、胸の下あたりまである栗色の波打つ髪が美しい女の人。
もしかして、恋人なのかな。
思わず息をのんでしまうほどオーラのある美貌の彼と、華やかな雰囲気の彼女。美男美女でお似合いだ。
道を開けるように少しずれ、ほうきを持ったまま頭を下げると、彼はちらりと私を見てうなずくような軽い会釈をしてから彼女とともに事務所の中へと入っていった。