ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「真央ちゃんのことは本当に好きだった。その傷さえなかったら、うまくやっていけたと思ってる。だから……」

その言葉を聞きながら、自分を否定されているような気分になった。

小学生のときから自分のからだにある傷跡。

自分でも痛々しいと思う。見て気持ちいいものじゃないのもわかってる。でもわざわざ手術をして消さないといけないほど、これはおぞましいものなんだろうか。

私が口を開きかけた時、背後からきつく抱きしめられた。



強引な腕の感触。たくましい胸板。ふわりと漂く甘い香り。
振り返らなくても、抱きしめる腕が誰のものかすぐにわかる。

「悪いが」

私を腕の中に抱きこみながら五藤くんを見据えるするどいまなざし。

「真央は俺のものだ。なにがあってもほかの男に譲る気はない」
「清瀬さん……?」

見上げると、彼の横顔が見えた。怒りを纏っていても相変わらず見惚れてしまいそうなほど端正な横顔。

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