ホテル御曹司が甘くてイジワルです


買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、清瀬さんにお茶を出す。
清瀬さんは我が家のリビングのソファに座っていた。

ずっと住んでいたこの家に清瀬さんがいるのが、ものすごく違和感というか不思議な感じがする。

「ここで真央が生まれ育ったんだな」

優しい視線で部屋の中を見回しながらそう言う清瀬さんに、うなずきながら隣に座る。

「ご家族は留守にしてるのか?」
「はい。母がひとりで住んでいるんですけど、看護師をしていて今日は夕方まで勤務らしいです」
「そうか。じゃあ仕事から帰ってきたあとに挨拶をさせてもらってもいいか?」
「挨拶ですか? いいですけど」

首をかしげつつたずねる。

「それにしても清瀬さん、こんなところまでどうしたんですか?」
「どうしたって、真央を迎えに来たに決まってるだろ」
「私を迎えに?」
「電話をしても出なくて、メッセージを送っても既読にならなくて。不思議に思って長谷館長に聞いたら地元に帰ったっていうから、住所を聞いて……」
「はい。ちょうど休館中なので長期休暇をもらって」
「はぁ?」

うなずいた私に、清瀬さんが眉を寄せる。

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