ホテル御曹司が甘くてイジワルです

その瞬間、胸に温かいものが込み上げて、慌てて両手で顔を覆った。
この醜い傷を、そんな綺麗なものに例えてくれるなんて。

「そんなことを言われたら、私までこの傷を愛しいと思ってしまいそうです」

涙声でつぶやく私に、清瀬さんは顔を覆う手をゆっくりと下ろさせ、甘いキスをしてくれる。
明るい部屋の小さなソファの上に押し倒され、私たちは何度もキスをして抱きしめあった。


ふいに清瀬さんの肩越しに星を見つけて「あ」と声をあげる。

不思議そうに背後を見る清瀬さんに、天井にむけて指をさしてみせる。

「昴です」

ソファに寝ころぶとリビングから続く和室の天井が見えた。蓄光シールで作った星空がそこにある。

「子供の頃、自分でシールを貼って星空を作ったんですよ」
「どれが昴?」
「冬の大三角形があってオリオン座があって、オリオンの三ツ星をたどってくとある、小さな星の集団」

指をさしながら説明すると、無事発見したようで清瀬さんが笑みをこぼした。

< 226 / 278 >

この作品をシェア

pagetop