ホテル御曹司が甘くてイジワルです



仕事中の母に、付き合っている人が迎えに来てくれて挨拶をしたいと言っている、と念のためメッセージを送っておくと、ものすごい上機嫌で帰ってきた。

「突然お邪魔して申し訳ありません。真央さんとお付き合いさせていただいています、清瀬昴と申します」
「あらあらあら! わざわざこんな田舎までありがとうございます。真央の母です」

挨拶と言っても、もっと軽いものを想像していた私は、しっかりと頭を下げた清瀬さんを見て驚いてしまう。

そんな私とは対照的に、『娘の恋人との対面』という初のイベントに目を輝かせている母。

実家のリビングのテーブルを挟んで向かい合うふたりを見ながら、なんだかこういう光景どこかで見たことあるなと首をかしげる。
ドラマなんかでよくある、『お嬢さんを僕に下さい』と頭を下げるシチュエーションにそっくりだ。

「清瀬さんは副社長をされているのね。これだけ立派な会社の跡取りでそれだけかっこよかったら、いくらでもお付き合いしたいという女性はいるでしょうに、なんでわざわざうちの娘を?」

あまりに率直すぎる母の感想に、清瀬さんの隣で私は思わず苦笑いする。

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