ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「それから、ご存じだとは思いますが、来週から新しい秘書の三木が私のサポートにつくことになりました」
その言葉を聞いた彼は、もういつもの冷静な顔を取り戻していた。
三木コーポレーションのご令嬢が、来週から副社長の秘書となる。
高級ホテルを展開するプレアデスグループと、不動産業を営む三木コーポレーション。ふたつの大企業の社長の間で持ち上がった縁談だ。
「……あぁ。父から話は聞いている」
副社長は無感情な冷たい声でそう言ってうなずく。
彼はそんな縁談には興味がないとはっきり断ってはいるけれど、答えをだすのはお互いを知ってからでもいいだろうと言う三木社長に頼み込まれ、彼女を秘書としてそばに置くことになったのだ。
「では、失礼いたします」
取り乱し赤面していた彼とはまるで別人のような、投げやりな表情を浮かべる副社長に頭を下げ、部屋を出た。