ホテル御曹司が甘くてイジワルです
そんな未熟だった私に、プラネタリウムの操作や解説をいちから教えてくれたのは長谷館長だ。
働き始めたころ、うまくいかなくて何度も失敗して悩んでいた私を、館長が何度も励ましげきを飛ばしてくれた。
長谷館長はずっと私の憧れの人で、そんな人に私の解説が好きだと言ってもらえて喜びで胸がいっぱいになる。
「清瀬さんがここを買収したあと、夏目さんがこれからも星座解説の仕事を続けられるように、ほかのプラネタリウム施設を紹介してくれるって」
その言葉に驚いて目を見開く。
プラネタリウムの解説員の仕事は、狭き門だ。
プラネタリウムの数は日本全国合わせても四百に満たず、プラネタリウムの解説員も千人程度。
その九割以上が公営の施設で、職員のほとんどが公務員だ。
毎年募集がかかるような職種ではない。
私が今こうやって解説員として『坂の上天球館』で働けているのはとても幸運なことで、この施設がなくなれば、もうプラネタリウムの仕事をするのは無理だろう。