ホテル御曹司が甘くてイジワルです
清瀬昴。三十三歳。
プレアデスグループの創業者で社長の清瀬要氏のひとり息子。
昨年、海外初進出となるプレアデス・香港のオープンを大成功させ帰国したのち、グループの後継者として副社長に就任した。
彼の有能さはもちろん、端正な外見や身にまとう優雅な雰囲気も大いに注目され、ホテル界のプリンスと言われている。
先日もらった名刺を見ながら彼の名前を検索してみれば、そんな情報が山のように出てきた。
完璧な人、というか、もう雲の上の存在だ。
肩書も財力も実力も文句のつけようがない上に、あの外見なんて。まさに現代の王子様だ。
私たちはそんな人から、この『坂の上天球館』を守らなきゃいけないんだ。
なんて考えながら事務所の前の掃除をしていると、大輝くんの姿が目に入った。
いつも細い坂道を元気よく駆け上がってくる彼が、今日は視線をおとしとぼとぼと歩いている。
どうしたんだろうと不思議に思いながら声をかける。