ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「大輝くん、おかえり」
私の言葉に足を止めた大輝くんから「ただいま」と力ない挨拶が返ってきた。
「どうしたの? お腹すいてる?」
膝を折り、うつむいた大輝くんの顔をのぞきこみながら問いかけると、小さな頬がふくらんだ。
「ちがうよ」
不貞腐れた顔。言い返す元気があることに、少しほっとする。
「そっか。飴があるから、お腹がすいてるならあげようと思ったんだけどな」
「……なに味?」
冗談っぽくいうと、少し機嫌をなおした大輝くんがそう聞いてきた。
「ミルク味とコーラ味」
カーディガンのポケットから飴玉を取り出してみせると、迷わず「コーラ味」と言って私の手のひらから一個取る。
「じゃあ私はミルク味にしよ。お姉さん今仕事中だから、飴を食べたこと館長には内緒にしてね」
「わかった」
真剣な表情でうなずいてくれた大輝くんに、口元がほころぶ。