ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

「私たちは勇敢に生まれついたわけではない。勇敢にふるまうことを学ばなくてはならないって」

私が大好きな言葉を言うと、大輝くんは不思議そうにこちらを見た。

「なにそれ」
「四番目に月を歩いた人の言葉。後輩の宇宙飛行士たちにそう言ったんだって。月を歩けるようなすごい人も、生まれながらに特別だったわけじゃなくて、努力して恐怖や不安に打ち勝って特別になったのかなって思ったら、なんだか勇気がわかない?」

私の言葉を、大輝くんは月を見上げながら聞いていた。「んー」と少し悩んでから「よくわかんない」と笑った。

ちょっと難しかったかな、と苦笑いしていると大輝くんがこちらを見る。

「でも、お姉さんが勇敢な男が好きだっていうのはわかった」

私が首をかしげると、大輝くんはひとり納得したようにうなずく。

「とりあえず、勇敢な男は友達をずるいって怒る前に、自分で努力するやつだと思うから、俺も頑張る」


 
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