ホテル御曹司が甘くてイジワルです
自分の言葉が届いたかどうかは微妙だけど、どうやらやる気になってくれたみたいだ。
すっかりいつもの明るい表情になった大輝くんに、ほっとして笑顔を返す。
「うん。応援してるから、頑張ってね」
「ありがとうお姉さん!」
力強く頷いてかけていく大輝くん。
その後ろ姿を見送ってから事務所の方を振り返ると、そこに人がいて驚いて飛び上がった。
「わ……っ」
仕事用のローヒールのかかとが石畳の段差にひっかかりバランスを崩す。
思わず体をこわばらせると、長い腕が私の腰に回り引き寄せた。
目の前には、ネクタイをした色っぽい首元。
スーツを着ていてもわかるたくましい胸板に、ふわりと漂う甘い香り。
おずおずと視線を上げると、清瀬さんが転びそうになった私をあきれた表情で見下ろしていた。
「君は、すぐに転ぶな」
至近距離で見つめられ、動転して真っ赤になる。
腰に回った腕や、密着した体の感触。そして耳元で響く甘い声。一気に体温が上がってしまう。