ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

「君の星の話は、つい聞いていたくなる」

プラネタリウムの投影機を簡単に撤去するなんて言う冷徹なこの人から、そんなふうに褒められるとは思っていなかった。

月を見上げる横顔は穏やかで、なぜか見ているだけで胸がドキドキと騒ぐ。

どうリアクションをしていいのかわからず黙り込んでいると、彼は小さく笑い事務所へと入っていった。
きっと、館長にまた買収の話をしに来たんだろう。

プラネタリウムを守りたいと思う私たちにとって、彼の存在は天敵だ。
ちょっと褒められたくらいでほだされちゃだめだ。

館長と清瀬さんの話し合いに同席しようと、ほうきとちりとりしまっていると、にぎやかな声がした。

ふりかえると体格のいい外国の男の人がふたり、スマホを取り出し天球館の写真を撮っていた。

昔ながらの石倉と、洋風のプラネタリウムドームの組み合わせが珍しいんだろう。
ときどきこうやって外国人観光客がやってくることがある。
レトロな街並みを気に入った旅行者がSNSに写真をアップして、ひそかな話題になっているようだ。

 
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