ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

人が来てくれるのは嬉しいけれど、彼らは街並みや建物に興味があるだけで、たいていプラネタリウムの中には入ってくれないから少し複雑だ。

何枚も写真を撮る様子を、少しハラハラしながら見守る。

最初は敷地の外から撮っていたふたりが、「ハイ!」と陽気にこちらに片手を上げながら庭へと入り込んできた。

建物にばかり気を取られた彼らは、庭で咲く足元の植物たちに気にも留めず、アングルを変えては写真を撮る。

ただの緑に見えるかもしれないけれど、あの辺はハーブの畑だ。ローズマリーやカモミール、タイムが彼らの靴の下敷きになっているのを見て、慌ててかけよった。

「あの! すみませんが、ここは庭なので出てください」

そうお願いする私を、不思議そうに首をかしげて見下ろす。
そうか、日本語がわからないのか。言葉が通じなくて困って顔をしかめた。

「えっと、だから。足元、植物を踏んでるから……!」


 
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