ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

一瞬誤解しそうになった自分を、あわてていましめる。
買収の話をあきらめないって意味で、変な意味じゃないから、勘違いするな私。

魅力的すぎる外見のせいか、それとも妙に色っぽい雰囲気のせいか、清瀬さんの些細な言動にいちいち動揺してしまう。

「それじゃあ」と踵を返して車が停めてあるんだろう駐車場のほうへと歩き出そうとした清瀬さんに、私は慌てて声をかけて引き留めた。

「あ、あの、ありがとうございました!」

足を止めた清瀬さんが、私のことを見下ろす。

「さっき、助けてくれて本当にありがとうございました。怖くてどうしていいのか分からなかったから、清瀬さんが来てくれて、すごく、うれしかったです」

面と向かってお礼を言うのはなんだか照れくさくて、口元を手で隠しながらぺこりと頭を下げる。すると清瀬さんは少し考えるようにじっとこちらを見た。

「……じゃあ、お礼をしてもらおうかな」
「お礼、ですか?」


 
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