ホテル御曹司が甘くてイジワルです
ついたのは、大きな建物の前。
両開きの扉に詰襟の黒い制服を着たふたりの男の人。
上品で豪華なエントランスに車を乗りつけて、清瀬さんが運転席から降りる。静かな足取りで近づいてきたスタッフと短く言葉を交わし、慣れた様子で鍵を手渡す。
その清瀬さんの様子を横目で見つつも、私はぽかんと開いた口を閉じられずにいた。
目の前にあるのは、てっぺんが見えないくらい高いビル。
ずらりと並んだ窓ガラスが、鏡のように夜景を反射する。
そして入り口の扉の上に輝くのは、アルファベットのPの文字と七つの星を象ったエンブレム。
……プレアデスホテルだ。
食事だからと深く考えずにいたけれど、まさか最高級のプレアデスホテルのレストランに連れてこられるとは思っていなかった。
エントランスに立つふたりのドアマンが、私たちのために恭しく両開きの扉を開いてくれる。
「行こう」とエスコートするように自然と私の腰を抱いた清瀬さんに、慌てて首を横に振った。