ホテル御曹司が甘くてイジワルです
扉をくぐり建物の中に入ると、豪華な空間に息をのんだ。
光を反射するほど磨き上げられた大理石の床に、つややかな飴色の木の手すりが美しい階段。
高い天井から吊り下げられたシャンデリアは、繊細な光の粒をひとつひとつつなぎ合わせたようなデザインで、下から見上げれば光の雨が降り注いでいるようだった。
目の前の夢のような景色に心を奪われながらも、そっと隣にいる清瀬さんを盗み見る。
この人は、こんな豪華なホテルを経営している会社の副社長なんだ。
毎日職場と家を往復して星のことばかりを考えている私とは、まるで別世界に住む人。
ぼんやりとしているうちに清瀬さんは私をつれてエレベーターへと向かう。
カードキーをかざさないと動かないエレベーターは、上層階に宿泊するお客様専用の特別なものらしい。
上品な木目の操作盤に並ぶボタンの中から、彼は三十二階を押した。
その階にレストランがあるのかな。なんて思っているうちに扉が左右に開く。
綺麗な花が置かれたエレベーターホールとそこから続く広い廊下。
ここはレストランやバーある階ではなく、客室フロアなんじゃ。