ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

「えっと、清瀬さん?」

戸惑う私をエスコートしながら清瀬さんはゆったりとした廊下を進み、一番奥のコーナーに設置された扉を開いた。

そこは豪華なスイートルームだった。
何平米あるのか想像もできない広いリビングに、豪華な花が飾られたダイニング。
まるで映画の中にでてくるような素敵な部屋が目の前にある。

驚きで足がすくんで動けない私を振り返り、清瀬さんが口を開いた。

「レストランが落ち着かないなら、部屋で食事をしよう」

なんでもないことのように言われ、何度も瞬きをしてしまう。

「そのために、わざわざこの部屋を……?」

ホテルの最上階にあるスイートルーム。いったい一泊いくらするんだろう。想像もできないけれど、めまいのするような高額だということだけはわかる。

ただ私と食事をするために、こんな豪華な部屋を用意するなんて。

お礼に一緒に食事をと言われてここに来たのはいいけれど、この部屋代と食事代が私に払えるとは思えない。
どうしよう。これはちゃんと断るべきかも。


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