ホテル御曹司が甘くてイジワルです
そう思っている私の横を、上品なロゴが入ったお菓子の箱を持って館長がご機嫌で歩いていく。
雑誌やテレビでも話題の人気店のスイーツだ。
「夏目さん、清瀬さんに差し入れいただいたから三時にたべましょう」
高級スイーツの差し入れに簡単にほだされてしまった館長を見送りながら、こほんと咳ばらいをして背筋を伸ばす。
「清瀬さん、なんの御用でしょう」
「オーベルジュの改装の進捗状況を確認したついでに、寄っただけだ」
「そうですか」
今日は天気がいいから外は暑かったんだろう。
いつも三つ揃えのスーツを着ている清瀬さんは、今日は上着を着ておらずベスト姿だった。
広い肩幅から引き締まった腰回りまで、体のラインに沿ったグレーのベストが色っぽくて、私はさりげなく目をそらす。
すると、私をさらに動揺させるように清瀬さんがこちらに近づいた。
「ひとつ頼みごとをしてもいいか?」
ゆっくりと近づきながらそう言われ、平静をよそおい「内容によります」と答える。
頼みごとなんて、いったいなんだろう。
内心ドキドキしている私に、彼は「プラネタリウムが見たい」と言った。