情熱的に愛してⅡ
だけど、その期待はすぐに外れた。

私が定時で上がろうとしていた時だ。

「清水主任。」

振り返ると、そこには門馬君が立っていた。

「企画書、直してきました。」

「えっ!」

正直、こんなに早く直してくるなんて、思ってもいなかった。


「今日はもう終わりなんで、時間ある時に見て下さい。お願いします。」

ご丁寧に頭まで下げて、門馬君は帰ろうとした。

「待って。」

「はい?」

私はもう一度、席に座り直した。

「明日時間が取れるか分からないから、今見るわ。ここに座って。」

そう言って、亘理君の席に座らせた。


私が企画書を見ている間、門馬君は緊張しながら、こっちを見ていた。

まるで穴が開きそう。

でもそれが、少しだけ心地よく感じたのは、私が門馬君に気があるからなのかな。
< 50 / 52 >

この作品をシェア

pagetop