その花が永遠に咲き続けますように
その後、本格的な練習は夏休みにしようという話をしてから、ファミレスを出た。
今すぐにでも練習をしよう、という訳にいかないのは、藤先生への相談や、生徒会への軽音楽同好会申請などをしなければいけないからだ。そしてもう一つ、忘れてはいけないのがーー


「あー、期末テストの存在を忘れてた!」


いつの間にかすっかり日が暮れて薄暗くなっている空を見上げながら竹入君が言った。


「バカじゃないの? 普通忘れる? あ、バカだから忘れるしテストも苦痛なのか」

「瑠夏、お前……。そりゃあ俺は高校も結構ギリで受かったし頭は良くないけど……あ、そうだ。俺、これからお前ん家で勉強させてもらうわ。テストに出そうなところ教えてよ」

「はっ、はあ⁉︎」

「いいだろ。家は隣だし、どうせ一緒に帰るんだからよ。じゃあなー、皆」


そう言って私と荻原さんと永君に手を振って、竹入君と白山さんは私達とは逆方向に向かって歩いていった。彼等は電車は使わず、徒歩通学らしい。


その後、私達三人も一緒に駅まで歩いていったけれど、荻原さんが乗る電車がちょうど来る時間になった為、駅構内前で荻原さんは駆け足で私達と別れた。


という訳で、私と永君の二人きりになる。


二人で過ごすのはいつものこととも言えるのに、今日は何から話したらいいかがわからない。



「……あ。そう言えば今日は自転車乗ってないね? ていうか、永君ってどこに住んでるの?」

「ん? ああ、今日は使わなかったけど一応ギター背負ってきてたからね、今日は徒歩。家は、みんとの樹から少し歩いた所にあるよ」

「そうなんだ……」


今日も遠回りさせてしまった。送ってくれてありがとうって言いたかったけれど、それすら上手く言葉に出せなかった。
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