珈琲プリンスと苦い恋の始まり

祖母が亡くなったのは、中学二年の冬だった。
朝起きると雪が降ってて、私は「大変！」と叫んで飛び起きた。


「おばあちゃん、雪が…！」


二階から一階へ駆け下りて、食事する部屋に電気が点いてないから（あれ？）と思った。
祖母は何処かへ出てるのかな…と思いながら、こんな雪の朝に何処へ？と不思議に感じた。


「おばあちゃん！」


土間に駆け下りて玄関の引き戸を開けようとしたけど、中から鍵が掛かってて、祖母が外へ出た形跡もない。

もしかしたら、部屋で寝坊でもしてるの？と慌て、急いで起こそうと向かったら＿＿


扉を開けると祖母は布団の上で横になってて、身体の上には掛け布団も毛布も掛かってない状態で眠っていた。



「おばあちゃん、風邪引くよ！」


部屋に入った時の違和感には、直ぐに気づけなかった。
祖母は普段通りにパジャマを着て、テレビの声も小さくしていた。

それは、私が試験中にいつもしていた事だった。
勉強の邪魔にならないように…と気を遣ってくれてたんだ。


「おばあちゃん…」