珈琲プリンスと苦い恋の始まり
声をかけて側に寄った瞬間、肌が露出してる手足の下半分が紫色に変色してることに気づいた。


ドキン!と胸が鳴って震えた。

あの日の父と同じだと感じた____。

____________________



小学二年生だった頃、お父さん子の私は毎朝のように父を起こしに書斎へ行った。

教師だった父は授業の準備なんかで寝る時間も遅く、しょっ中机に伏せたままうたた寝をして、朝を迎えることが多かった。


その日もそうなんだろうと思い、「お父さ〜ん」と甘える声を出して部屋に入った。


案の定、父は机に伏せて眠ってる。
私はそっと近付き、いつもの様に「わっ!」と声を上げて驚かせようとしたんだ。



だけど、側へ寄るといつもと違うと感じた。

父の左腕がだらんと机の下に垂れ下がり、その腕が紫色に変色していたからだ。


「お父さん、腕が…」


握ろうとして、直ぐに離した。
冷んやりとして温もりがなくて、まるで氷みたいだと感じたからだ。


「お父さん!どうしたの!?」


< 113 / 279 >

この作品をシェア

pagetop