その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
すると突然、河野さんが。


「幹本って、酔うとセックスしたくなるタイプ?」


なんて質問をしてきた!

は? 何言ってるのこの人!

と思ったけど、よくよく思い返せばいつものことだった。河野さんはお酒が入るといつもこういうネタを振ってくる。

しかも厄介なことに、この手の質問に引いているのは私だけで、他の男性社員はいつも爆笑。今日も例外ではない。
チラッと横を見れば、武宮課長も、爆笑とは言わないけれど肩を揺らしてクックッと小さく笑っている。
わかった、わかった。というかわかっている。ここで正解なのは、この場の雰囲気に合わせること。


「そういう日もありますかね」

そう答えると、河野さんはアハハと声をあげて笑う。場が盛り上がるなら仕方ない。私も、この手のネタがどうしようもなく嫌いって訳でもないし、今更かまととぶっても仕方ない。
男性だらけの中で働くということは、時には女性らしさを捨てて、男性の趣味嗜好に合わせないといけない。


「幹本のセックスって想像出来ねぇなあー」

「別に普通ですよ……」

「上と下、どっちが好きなんだよ!」

「下ですかね……」

「幹本さんって、男性に興味ないみたいなこと言ってましたけど、そういうことはするってことですか?」

斜め前の席の相田くんまで絡んできた。彼の場合、酔ってるから絡んできているというか、ちょっと天然なところがあるから純粋に聞いてきているのかもしれないけれど。
あー、このノリ面倒臭いなぁと思いながら適当に質問に答えていると……


「幹本さん、ちょっと顔色悪いんじゃない? 一回席外す?」


と、武宮課長に言われた。
< 11 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop