その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
「へぇ。由梨ちゃんって言うんだ」

急にちゃん付けで呼ばれ、私の眉間のシワが再び刻まれる。

武宮課長なりのコミュニケーションの取り方というだけであって、他意はないのはわかっているけれど、こういうタイプの男性はどうも苦手だ。


「……苗字で呼んでくださいね?」

それだけ言って、私は彼から顔を背けるかのように視線をパソコンに戻した。


……悪い人ではないと思う。仕事面に関しては素直に尊敬出来る。
でも、少し軽い人かもしれない。
仕事に差し支えなければ別に構わないけれど。
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