惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

◇◇◇

それから瞬く間に五日が過ぎ、同期会当日となった。

あれから陽介さんと私の関係に進展はない。そもそも期間が定められているのだから、進展しようのないことは悲しい現実だった。

先週の金曜日から陽介さんのマンションに置いてもらっている私は、彼の運転する車でこっそり一緒に出勤している。手が不自由なせいでろくに家事もできないのに、陽介さんはそんな私に呆れるどころか甘やかしてくれていた。朝食は料理上手な陽介さんが作り、夕食は外食だったりデリバリーだったり。
表面上は、普通のカップルが同棲しているようなものだった。

琴子に案内されてやってきたのは、【カーニバルプレイス】というレストラン。レンガ造りの大きな平屋建ての店構えで、中に一歩足を踏み入れると賑やかな音楽に圧倒される。ランプのような照明しかない店内は薄暗く、店員に「足元にお気をつけください」と言われながらテーブルへ案内された。

すでに森くんたち男子は集まっていて、私たちが到着すると「お疲れさまー」と手を振る。琴子と並んでテーブルに着いた。


「琴子、すいぶんとやかましい店を選んだな」


森くんの言いたいことはわかる。店内に流れている音楽のボリュームの大きいことといったらない。BGMというよりは、その存在をアピールしている。

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