惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
「ですが、ここだとグランツの人たちに見られませんか?」
心をくすぐるひと言に浮かれながら、心配も生まれる。
手を繋いでいるのを見られたりしたら、妙な誤解を招くだけ。社内一人気のある陽介さんだったら、噂も光の速度を上回るだろうから。
キョロキョロと辺りを見回し、隠せもしないのに身体を小さくさせる。
そうだというのに陽介さんは、まったく動じる様子がない。それどころか私の意見に反発するかのように、ギュッと手を握った。
「別に誰に見られようが俺は構わない」
……どういうこと?
目を瞬かせて陽介さんを見ると、彼はかすかに笑みを浮かべて、もう一度強く私の手を握った。
真意が掴めない。
陽介さんは、社内の人に見られて私との仲が誤解されてもいいってこと? むしろそれを喜ばしいことのように思ってる?
……ううん、そんなわけがない。陽介さんがそんなふうに考えるはずがない。
陽介さんはきっと自分に確固たる自信があるから、どんな噂を流されようと、それに負けないんだ。人にどう見られようが、たぶんあまり気にならない。だから深く考えずに私と付き合おうと思ってくれたのだろう。そうだとしか考えられない。