惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「お兄さん、香奈さんをあまり責めないであげてください。幸い犯人とも鉢合わせせず、香奈さんは無事だったんです」
「それはそうだが……。ただ、今回はたまたまそうだったかもしれないが、またいつこんな目に遭うかわからないんだ。だから香奈にはよく言って聞かせないと」
「それならご心配には及びません」


陽介さんがあまりにも自信たっぷりに言うので、兄と私は揃って彼を見た。


「香奈さんは今夜、僕の部屋に連れて帰りますので」
「えっ!?」


思わず甲高い声を上げる。兄に至っては声も出せないような様子だった。

僕の部屋って、陽介さんの部屋?


「空き巣が入った部屋に香奈さんを置いておけませんし、香奈さん自身も怖くていられないでしょうから」
「そ、それなら俺の部屋に連れて帰るから、キミは心配する必要はない」


陽介さんと兄が睨み合う。空き巣が入った部屋は、さらなる不穏な空気が渦巻いた。ふたりの間に挟まれて、ものすごく居心地が悪い。

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