拾い恋(もの)は、偶然か?



チラリと部長を見れば、かっこよく前を向いて運転してる。

ここでかっこよく、を入れたのは完全に私の欲目だけど、部長はそんなの抜きにしてもかっこいい人だ。



「仕事も一段落したし、ある程度週末も大丈夫そうだよ。」

「そうですか。」

「あれ、信じてない?」

「はい。」


即答すれば部長が吹き出した。


「ははっ、俺って信用ない?」

「部長が、の話ではないので。」

「ん?」


運転中にこっちを見るから、前を向いてとばかりに前を指差した。笑顔で承知したらしい部長が前を見てくれる。


私のそんな失礼な態度にも笑顔のこの人は、仕事もできる凄い人で、あの大きな会社の部署一つをまとめあげている。

勿論、部下の訳の分からないミスの処理にも駆り出されるわけで、仕事がそんなに忙しくない時期だとしても暇、という訳にはいかないだろう。


部長のことは信用している。信用できないのは、部長という立場と、周りだ。


しかも最大の要因を作るであろう、七瀬さんが一番信用できない。

「七瀬なら、心配はないよ。」

「え?」


部長を見れば、私をチラリと見た部長は、すごく、すごく不敵に、笑った。



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