拾い恋(もの)は、偶然か?





「知りたい?」

「……いえ、別に。」

「そ。」



なんとなく、聞いたらなにかが終わる気がした。それほど部長のまとう空気は禍々しい。


どうやら、部長もかなりイラついていたのか。七瀬さん、来週いるかな。


嬉しいはずなのに、彼女がものすごく心配になってきた。



「音は、行きたいとこあるか?」

「いえ、あれだけあれば十分です。」

「あれでも一部なのに?」


部長の呆れた発言にため息を漏らした。さっき部長の内ポケットから奪い取った束を見れば、一部なんて量じゃないんだから。


ん?


「同じ日付のがありますけど。」



コンサートや美術館、博物館、地下ライブのチケットみたいなのもある。そのいくつかが同じ日付で、中には時間までかぶっているものもあった。


「音と行きたいところを買って行ったら、なぜかね。」

「勿体ない。」


私と部長が3人ずつでもいないと、これ全部は回れなそうだ。

でも、なんだか。


「ふふっ。」

「音?」


なんだかとても、面白い。


「これが部長のポケットに入ってたなんて、考えるだけでも笑えます。」


それにこんなに、私と何かをしようとしてくれていた部長の気持ちが、ものすごくうれしかった。







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