拾い恋(もの)は、偶然か?




「……音。」

「はい?」



呼ばれて部長を見れば、艶のある目はまっすぐに私を見つめている。


ただ、見つめられているだけなのに、なんだろう、ものすごく吸い寄せられる。



「今日、家に来ないか?」



だからなのかもしれない。部長の目に吸い寄せられるように体を寄せた私は、思わずこう言っていた。



「……はい。」



----、




不意に、水が飲みたくなった。

喉の渇きに促されるように目を開けば、目の前で寝ているはずの人とガッチリと目が合ってしまう。


「部長。」

「ん?」

「いつから見てました?」


私の涎を。いや、白目か。疲れてたからいびきまでかいてるかもしれない。



「ずっとだ。」

「ずっと……。」


だからその返答を嬉しがるより、落ち込んでしまったのは言うまでもなく。


「見ないでください。」


そう言って思わず背を向けてしまったのも仕方のないこと。


不意に、私の肩に部長の指先が滑る。素肌だからか、その感触ははっきりと分かって、昨夜の情事を思い出して思わず身震いしてしまう。



なんて言うんだろう、うん。


凄かった。



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