拾い恋(もの)は、偶然か?



「そうねぇ……。」

数度机の上で指をトントン鳴らした松崎さんは、真剣な表情でこう言った。


「顔。」

「それは分かります。」

正直、さすが翔吾さんの弟と言おうか。いや、翔吾さん遺伝子がそうさせるのか、あるいはご両親が凄いのか。

黙ってれば衛は一級品のイケメンと認めざるを得ない。

「え、でも、翔吾さんの方がイケメンですよねぇ?」

「なにその自信。当たってるだけにムカつくわ。」


不意と顔を逸らした松崎さん。自分も認めてるじゃない。


「あとは、お金。」

「うん。はいはい。」


分かりやすく指でリングを作ってみる松崎さん。ウインクまでして少々古臭い。


「なによ。あとは、将来性かしら。」

「その辺は分かってますから!もっと別の何かです!」

「ちょっと、それじゃ私が欲に目が眩む馬鹿女みたいじゃない。」

「馬鹿ではないと思いますよ。」


正直に返したのに、なぜか松崎さんはムッとした表情。馬鹿女だとか思うわけないじゃない。うちの秘書課って、高学歴で中身もそれなりに聡くないといけない。しかも見た目もビューティホーじゃないといけないんだから。



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