拾い恋(もの)は、偶然か?
「接してみても思いましたが、松崎さんをバカと思ったことはないです。ただ、欲に忠実な人だなと認識してるだけで。」
「……それはどうも。」
なんだか納得がいっていない感じがするけど。それは別に気にすることもないかと思った。
問題は、そこじゃない。
「松崎さんって、部長のこと、とても好きでしたよね?」
「……。」
黙り込んでいるこの人が、素直じゃないことも、実は気持ちにも忠実なことも、見ていて分かっていた。
だから思ったんだ。衛にもきっと、好きになる要素があるんだって。もちろんお金と将来性も視野に入れた上で、松崎さんが彼と付き合うきっかけのようなものがあったのかもしれない。
「……部長の身体的な理由で離れるような人とは思えませんから。」
「知ってたの。」
頷いた。昨日貴女の彼氏に暴露されましたとまでは言わないけど、松崎さんが部長の体のことを知っているという風なことも聞いたし。
私がこれまで見てきた松崎さんは、部長が子供を作れない体だったとしても、それを理由に別れを切り出す人には到底見れなかった。
「松崎さんって、お金と将来性大好きですけど、気持ちを大切にしないわけじゃないじゃないですか?」
「……やっぱり、褒められている気がしないわ。」
うなだれる松崎さんは、私が見ていることに気が付くと苦笑いを零した。