拾い恋(もの)は、偶然か?
元カノと今カノ。普通なら仲良くするはずもない。だけど私と松崎さんはこうしてお茶してるわけで。
出逢いが最悪なだけに、謎な関係だと自分でも思う。
「まぁ、私と翔吾は付き合ってたけど、ダメだった。それだけよ。」
多分この人の持ち前の気の強さのおかげ。
「すみません。でも翔吾呼びはやめてください。」
「……徹底してるわね。あんた。」
そして私の限りなく失礼なこの性格のおかげだろう。
目を細めた松崎さんは、深く溜息を吐いた。
「そろそろかと思ってたのよ。そしたらね、運よく衛さんが現れてくれたってわけ。突然現れて、しょ、んん、部長の"欠陥"について語られたわ。」
「手口が一緒やないすか。」
マジであの衛野郎。そこらじゅうで言いふらしてんじゃないの?これが会社の噂の根源かもしれない。もし不妊のことまで広まってしまったら、翔吾さん傷つくだろうな。
あいつの居場所を調べて締め上げようか。
ドン引きする私に苦笑いを零した松崎さんは、憂いを込めた目をそこらに移した。
「だけどね、必死に部長を貶めてるあの人を見て、寂しい人だなって思ったの。彼の立場上、きっと部長以上に大切に育てられてきたはずなのに、愛に飢えてるっていうのかしら。」
「そう、なんですか。」