拾い恋(もの)は、偶然か?
さすが、松崎さんだな。私には衛がそうとは見えなかった。ほんとに、なに食べればあんなやつに育ったわけ?と叫び出したいほどだ。
それに私には、衛を理解しようなんて広い心は1ミリも持ち合わせていない。翔吾さんを貶めた時点であいつはその辺の小石よ。今度会ったら川原におもいっきりぶん投げてやりたい。
いや、いっそぶっ叩いた方が目が覚めるかも?
「あんたがあの人を理解なんてするわけないのは分かってるのよ。」
「…すいません。努力はしました。」
「普通に嘘つくんじゃないわよ。いっそ今度会ったらぶん殴るとか思ってんでしょ。」
「………いやー、それは、はは。」
「間。そして誤魔化し下手すぎ。」
鋭く突っ込みを入れた松崎さんは、深いため息を吐いた。
「衛は、翔吾と違ってご両親に大事にされてきたって鼻高々によく自慢してるわ。」
「…へぇ。」
もう一発追加してやる。私の握る拳を一瞬見て、見なかったことにしたらしい松崎さんは、コーヒーのカップを一回、グルリと回した。
「でもそれはね、大切に甘やかされただけで、愛されたとは言わないと思うの。」
「…それは、」
言いかけた私に松崎さんは頷いてみせる。