拾い恋(もの)は、偶然か?
「少なくとも、翔吾さんはそういうところあります。強引に口説いてきたくせに付き合い出すとすごい奥手で。そういう人なのかなと思ったら突然、タガが外れたようにデレデレしてる。」
「…おかしいわねぇ、ノロケにしか聞こえないわ。」
松崎さんの嫌みには、ニッコリスマイルで対抗。松崎さんには松崎さんの、私には私の、違った翔吾さんの見え方があるんだから。
「見てください、これ。」
「ん?」
松崎さんに見せたのは、メッセージアプリの画面。私と翔吾さんのやりとりが書かれたそこは、今30分に1回、一方通行でメッセージが送られて来ていた。
「なにこれ。まだか?終わった?帰った?ばかりじゃない。」
「まぁ、家で待ってくれてるんで。」
呆れたような表情で椅子の背もたれに寄りかかった松崎さんの言いたいことは分かる。だけどそれを覚悟の上で私は、この画面を見せたんだ。
「これは少なくとも、私が言ったからです。会えなくて寂しいって。」
衛もそうだけど、あの兄弟はやや思い込みが激しく、暴走傾向にあると思う。翔吾さんも私がそう言うまでは、メッセージなんてごくまれにしか送ってこなかった。本人いわく、あまり連投するのは困らせるだけだと思っていたらしい。