拾い恋(もの)は、偶然か?
「はぁ、まるでガキね。」
溜息を吐いた松崎さん。また、あの寂しそうな笑顔だ。
「どうしたんです?」
「ん?あ、うん。」
コーヒーカップを持ち上げて飲まずに置いた松崎さんは、もう一度深い溜息を吐いた。
「癪だから、教えない。」
「なんですかそれ。」
だけど今度見せた笑顔は、何かが吹っ切れたように綺麗。いつもの自信たっぷりの松崎さんだ。
「それにしてもそれ、ちょっと束縛の匂いするわね。」
「え、歓迎しまくりですけど。」
「はぁ?」
束縛の何が悪いのか。今までの彼氏だったらうっとおしいと思ったかもしれないけど。
「翔吾さんなんで、なんでもありです。」
「……あんた、ほんとにちょっと心配だわ。」
溜息ばかりの松崎さん。自分が変なのは自覚してますけどね、ちょっと呆れすぎではないですか?そんな私の無言の訴えに気付いたのか、松崎さんはニヤリと笑う。
「その内携帯番号の男の名前自分以外消せとか言ってくるんじゃない?」
「それはちょっと許容の範囲ではありませんね。」
友達の番号まで消せと言われるとなかなか困りものだ。こんな私でも一応、異性の友達くらいはいるんだから。