拾い恋(もの)は、偶然か?


恋というものを、知っているつもりだ。


「ん?」

ジッと見つめる私に気付いた鳴海先輩の笑顔を見つめた。松田部長との関係は、この素敵な笑顔を歪めてしまうようなものなんだろうか?

だけど私と鳴海先輩は、少しだけ仲の良い先輩後輩に過ぎない。もし鳴海先輩と松田部長がそういう関係なんだとしても、口を出すようなことはできない。

「先輩。何かあったら相談してくださいね。」

「え?あ、うん。ありがとう。」

首を傾げる先輩からは、何か思い当たることがあるという風には見えない。だけど、昨日のカフェでの2人の様子を見たら、気のせいでもないんだと思う。


だけど、昨日見ちゃった、なんて軽く話せることでもないと思う。だって先輩には、長く付き合っている彼氏さんがいるんだから。ついこの間、給湯室で、惚気を聞かされたばかりだった。


「はぁ。」

「古蝶、大丈夫?」

「まぁ、多分。」


先輩には、クリーンでいてほしいなんて。そんなこと、私が勝手に思っているただのエゴだと思う。先輩にもダメな部分はあって、人間なんだから、黒い部分もある。誰にも言えない秘密もあるだろうし、失敗だってするんだ。

でもやっぱり、キーボードを打つ手がなんだか重い。

とりあえず部長に、[そういうの、大歓迎です。]と送っておいた。


< 160 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop