拾い恋(もの)は、偶然か?
恋というものを、知っているつもりだ。
「ん?」
ジッと見つめる私に気付いた鳴海先輩の笑顔を見つめた。松田部長との関係は、この素敵な笑顔を歪めてしまうようなものなんだろうか?
だけど私と鳴海先輩は、少しだけ仲の良い先輩後輩に過ぎない。もし鳴海先輩と松田部長がそういう関係なんだとしても、口を出すようなことはできない。
「先輩。何かあったら相談してくださいね。」
「え?あ、うん。ありがとう。」
首を傾げる先輩からは、何か思い当たることがあるという風には見えない。だけど、昨日のカフェでの2人の様子を見たら、気のせいでもないんだと思う。
だけど、昨日見ちゃった、なんて軽く話せることでもないと思う。だって先輩には、長く付き合っている彼氏さんがいるんだから。ついこの間、給湯室で、惚気を聞かされたばかりだった。
「はぁ。」
「古蝶、大丈夫?」
「まぁ、多分。」
先輩には、クリーンでいてほしいなんて。そんなこと、私が勝手に思っているただのエゴだと思う。先輩にもダメな部分はあって、人間なんだから、黒い部分もある。誰にも言えない秘密もあるだろうし、失敗だってするんだ。
でもやっぱり、キーボードを打つ手がなんだか重い。
とりあえず部長に、[そういうの、大歓迎です。]と送っておいた。