拾い恋(もの)は、偶然か?




「ちょっと、私見ちゃったんだけど。」


おかしいな。さっき私が、頭の中で吐いたセリフだ。

「何が?」
「とぼけるんじゃないわよ。鳴海もやるわねー。」

親子丼を一すくい口に入れた鳴海先輩を、野次馬根性丸出しの松崎さんがお箸でビシリと指した。

「松井さん!」
「なに?」

必死に首を横に振って止めてみても、どうやら松崎さんに引くという文字はないらしい。


「一昨日。土曜日の昼間にカフェで誰かさんといちゃついてたでしょ。」

あ、言った。私がものすごく気を使って頭を悩ませて、どうしようと悩んでいたことをあっさりと言ったね。ニヤつくこの綺麗な顔をつねりまくってやりたい。



返答のない鳴海先輩。恐くて隣が見えないんですが。


「あーうん。あれね。」

沈んだ声に、嫌な予感が的中した。大体、こんな食堂のど真ん中で聞くのもどうかと思う。とにかく、松崎さんを睨んでみると、口パクで、「だって。」と言われた。

気になったから聞いた。そんな感じなんだろうけど。先輩の場合事情がちょっと複雑そうなんだから、すらりと聞ける内容じゃないでしょ!

黙り込む先輩を他所に、私と松崎さんの口パクでの攻防が続く。



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