拾い恋(もの)は、偶然か?
「残念。奢ったらなにか良い事ありそうなのに。」
「……部長、それは明らかなセクハラですよ。」
目の前の枝豆を頬張って、ほぼ氷が溶けた水で構成されたファジーネーブルを煽る。こんなの、飲まなきゃやってられない。
だってさっきからドキドキが止まらないんだもの。司馬部長。なんていい匂いさせてるんですか!私だって気を付けてますけどね、一日中働いてこんな安居酒屋で、良い香りを放っているのは貴方だけだと思います!
それに、この距離にも問題がある。
なんで隣なの!時折太ももが当たってドキドキしちゃうじゃない!
ううう。かといって鳴海先輩の隣に座られると嫌だし……。
それに見てこれ。
「音は、お酒強い?」
「ああ、まぁまぁ、でしょうか。」
「そ。」
隣で頬杖をつくスーパーイケメンが、私をジッと見るんです!
なにがそんなに嬉しいのか。いつも営業スマイル一本のくせに今はなんだか部長の顔がゆるゆるに緩んでいる、気がする。
「どうなってんだ。」
「私にも分かりません。」
不思議そうな声が聞こえてそちらを見れば、松田部長と鳴海先輩。2人揃って茫然と見てくるものだから、なんだか居心地悪い。