拾い恋(もの)は、偶然か?



「これ、本当に司馬翔吾よね?」

「まぁ、そうね。」


松崎さんの質問に茫然と答える鳴海先輩は、なぜか私と部長を交互に見て、2人は合わせたように溜息を吐いた。

「なんすか。」

ほんとに、私も同じくくりにするのはやめていただきたい。部長が変なの。私は大人の対応をしている。多分。


「まぁとにかく、じゃま……彼女は部署移動になったわけだ。本人の希望で挨拶や送別会はなしになったから。寂しいけど辞令だ。仕方がないね。」

「はぁ。」


はっきりと邪魔と言った気がするんだけど気のせいだろうか?本人の希望で挨拶とかがないというのは、はっきり言って納得してしまう。私なら、あんだけあからさまにアタックしてたのに、そのきっかけづくりのせいで部署移動させられました、なんてまぬけ、周知の事実になったら恥ずかしくて会社を辞めるかもしれない。


それにしても、この間、衛と鉢合わせてからというもの。翔吾さんの言動がややおかしい気がする。


元からこういう可愛いところはあったけど、あからさまに周囲に私たちが付き合っているのを見せつけるようなことはしなかった。


それに、まだまだ私たちの間には問題が山積み。翔吾さんは結婚がどうの言っているけど、正直プロポーズすらされていないままなのは納得がいかない。



< 170 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop