拾い恋(もの)は、偶然か?


「コーヒー。お前は?」

「私もコーヒーで。」

「かしこまりました。」


それでこうやって喫茶店だけど入っちゃう私もどうかと思うんだけど。


「はぁ。」

「なんだよ感じ悪い。」


眉間に皺を寄せる衛。

私はできればあなたに一生関わりたくなかったわけだから、ため息くらい許して欲しいものだ。


「話って?」

「まて。コーヒーが来てからだ。」

「は?」

睨み付ければ、身内のことだから、と衛は表情を険しくさせた。


そんなに聞かれたくないならなんで喫茶店なんかにしたのか。といっても個室に連れ込まれても困るのが本音。


やっぱり、翔吾さんと一緒に来るべきだったか。今更ながら、衛なんかについてきたことを後悔した。



コーヒーがきてすぐに、衛はコーヒーに口もつけずにまっすぐ私を見た。


「お前、ほんとに兄貴と結婚するつもりか?」

その質問には、誤解がある気がする。私はまだ翔吾さんからプロポーズされてないし、結婚を承諾した覚えもない。


この質問は、結婚が決まっていてかつ、その意志が固い人に確認の意味でするものだ。


「どうしてそんな質問を?」


でも、このズレた兄弟のことにいちいち目くじら立てるのも疲れる。だからそう聞いた。


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