拾い恋(もの)は、偶然か?




どうやら、社長が多忙すぎて今日しか無理だったらしいんだけど。


色々あるじゃない?女の子だもの。


服とか髪型とか、ちょっとでも綺麗に見えるようにエステくらいは行きたかった。

だけど、当然そんな暇もなく、家のタンスに眠っていた余所行き用の服を引っ張り出してきた。

なんか、"家"の匂いがするんだけど。ちょっとしばらく使ってなかったからな。とりあえず服用の消臭剤を振りまいて応急処置してきたけど。大丈夫かな。



「音、緊張してる?」

「まぁ、それなりには。」


翔吾さんの運転で翔吾さんの実家へ行く車内。翔吾さんの硬い声に自分まで緊張してきた。


元々緊張はあまりしていなかったはず。だって社長に歓迎されるはずもなく、最悪その場で別れさせられることだって十分にあり得る。


もはや四面楚歌決定の中に突入していくとなれば、緊張以前の問題で。それでもほんの少しだけよくみられればと服装とかに気を使いたかったけど、それももうだめだ。


そうなるともう、やけくそというか、どうにでもなれと思ってしまうもの。



それなのに翔吾さんが緊張を移してこようとするものだから、この人も敵では?なんて思ってしまう。




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