私の本音は、あなたの為に。
澄んだ瞳に見詰められ、少し怖くなる。


「あ、あの、五十嵐君、宜しくね」


何とか挨拶をすると、五十嵐君も笑って応えてくれた。


「安藤、だよね?宜しくね。…あと、君付けなくていいから」


君って付けられて呼ばれたくないんだ、と彼は恥ずかしそうに笑った。


「うん」


(私は今、“女子”として見られているんだ)


学校では女子になれる、ありのままの自分を出せる嬉しさに、私は自然と笑顔になっていた。



「じゃあ、学級委員はこの2人で決定ね。…専門委員会に入った人達は、早速今日の放課後に委員会があるから、各自出席して下さい」


先生の言葉が、耳に残る。


(今日の放課後か…)


放課後という事は、まだ部活に入っていない私にとっては、家に帰るのが遅くなるという事。


それが、私は嬉しかった。


ママには悪いと思っているけれど、私はまだ“女子”で居たい。


もう女子として居られるのは、学校ほどしかないから。


私が女子として居られる時間が少しでも増えてくれるのは、正直ありがたかった。



「安藤…安藤、聞いてた?」


「…えっ?」


隣から五十嵐の声が聞こえ、私は我に返った。


どうやら、私は考え事をしているとすぐに意識が飛んでしまうらしい。


「図書委員は、放課後に2階の図書室に集まってだって。先生が言ってた」


「うん、ありがとう」


私はお礼を言い、五十嵐はこくんと頷いた。
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