私の本音は、あなたの為に。
放課後。


私達は、言われた通りに図書室に来ていた。


周りには図書委員の先輩達や、同級生。


誰も何も話さないこの空気に、私は早くも逃げ出したくなっていた。


誰かが口を開いたら、皆の視線がその人に注目してしまうようなこの静けさ。


だから、誰も口を開かない。


いや、開けない。


(もう嫌だ、帰りたい)


帰ったら“勇也”を演じなければいけないけれど、この際そんな事は気にしてなどいられない。


それ程、この空気は私にとって耐え難いものだった。



そう思う事、10分間。


我慢の限界が来た私が、本気で帰ろうと思って立ち上がろうとした時。


「ごめんねー、全員分のプリント印刷してたら、遅くなっちゃったー」


と、玉村先生が入って来た。


(えっ、何で?)


首を傾げる私に向かって、


「玉村先生、図書委員の担当らしいよ」


と、私の考えを見透かした様に教えてくれる五十嵐。


その言葉に納得した私は、頷いて先生の方を見た。


「それじゃあ、図書委員会を始めます」


先生の一言で皆が立ち上がり、礼をする。


生徒が椅子に座り直した事を確認した先生は、てきぱきと印刷したばかりのプリントを配り始めた。
< 11 / 309 >

この作品をシェア

pagetop