私の本音は、あなたの為に。
先生の言葉を合図に、静まり返っていた図書室内が打って変わって騒がしくなる。


「ねえ、どーするー?」


「俺、昼がいい」


「私も昼がいい!じゃあ、曜日はー?」



そう話している先輩達の声を聞きながら、私は五十嵐を見た。


「どう、する?」


あまり話した事が無いせいか、五十嵐とどうコミュニケーションをとればいいのか分からない。


「んー、どうしよっかなー」


そんな私の思いは嬉しくも届かなかった様で、五十嵐は真剣に悩み始めた。


配られたプリントにはほとんど目もくれず、先生が言っていた言葉を口の中でもごもごと繰り返している。


「……俺、放課後が良いかも」


数分後、ようやく五十嵐が結論を出した。


その結論は、私にとっても嬉し過ぎるもので。


「私も放課後が良いな」


その言葉が終わるか終わらないかのうちに、


「火曜日習い事あるから、月・水・金が良いんだけど」


と、彼は私にとってまたもや嬉し過ぎる発言をした。


「私も、その日が良かったの!」



その理由は、ママと一緒に居る時間が減るから。


本当は、ママと過ごしていたい気持ちもある。


けれど、私の事を私と見てくれないから。


私としてはその事はもう気にしていないけれど、ずっと男子を演じていると、いつか女子としての生き方を忘れてしまいそうで、怖い。
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