私の本音は、あなたの為に。
「……大変だったんだね」


何と声を掛けていいのか分からない私は、やっとの思いでそれだけを口にする。


「別に、気を遣わなくてもいいよ」


俺が優希ちゃんに会いたかった理由、これじゃないから、と、彼は今までの苦労を吹き飛ばすかのように笑って見せた。



「もう、サッカーはしないの?」


気分を変えようと、私はそういえば、と手を叩いて質問した。


「サッカー?…ああ、サッカー…」


大ちゃんは、ぺろりと舌を出した。


「サッカーは、もうしないよ」


「えっ!?」


(治ったんじゃないの?何で続けないの?)


私の頭の中に、数々の疑問が飛び交う。


そんな私に気付いた彼は、慌てて言葉を付け足した。


「一応手術は成功したけど、やっぱり前みたいに上手に右半身を動かせないんだって」


私はぽかんと口を開けたまま、固まっていた。


「本当はやりたいんだよ?…でもさ、出来ないからねー…。だから、ほら」


大ちゃんは、自分の茶色く変わった髪の毛や、ピアスの穴の開いた耳に触ってみせた。


「気が付いたら、こんな風になってた」


「それって、どういう…?」


大ちゃんが私に伝えたい本当の意味が分からず、私は目を右往左往させる。


「…現実逃避、かな?」


「ほ?」


本当に、穴があったら入りたい程の情けない声を出してしまった私。
< 138 / 309 >

この作品をシェア

pagetop