私の本音は、あなたの為に。
慌てて、赤面した顔を隠す。



「優希ちゃん、別に大丈夫だよ」


地味に笑いを含んだその声に反応し、私は指の隙間から目だけを出した。


現実逃避ね…、と、大ちゃんは自分に言い聞かせる様に呟く。


「だってさ、サッカーを続けたいが為にわざわざ外国まで行ったのに、手術してもサッカーが出来ないなんて酷くない?」


私は、そっと頷いた。


「でしょでしょ!だから、嫌になっちゃって。髪の毛も染めたし、ピアスも空けてみたし」


結局は、全部俺がやってみたかった事なんだけどね、と大ちゃんは豪快に笑った。


そんな大ちゃんを見て、安心した私はそっと両手を下ろした。


確かに、今の大ちゃんは私の知っている大ちゃんではない。


けれど、明らかに性格が悪くなったとかではなくて。


大ちゃんは、その方法で自分の精神状態を安定させようとしていただけ。


外見は変わっていても、やはり大ちゃんは大ちゃんだった。



「…えっ、大ちゃん、私のママに会ったの!?」


そして数秒後、大ちゃんが先程言っていた台詞を思い返していた私は驚いて大声を出した。


(ママ、変な事言ってないよね…?)


途端に、毛穴という毛穴から冷や汗が吹き出てくる。


ママは、兄と幼馴染みだった大ちゃんに、私の事を話しているかもしれない。


男となった、私の事を。
< 139 / 309 >

この作品をシェア

pagetop