私の本音は、あなたの為に。
まんまとしてやられた。


全部、大ちゃんの作戦だったのだ。


洞察力が鋭い彼なら、私の些細な変化にもすぐに気付くはず。


そしてその原因が何か、確かめようとするはず。


私は、大ちゃんの手のひらで上手く転がされたのだ。



「ごめんね、優希ちゃん…。本当は、こんなつもりじゃなかったんだ」


私は目線を少し落とし、ゆっくりと頷く。



「……優希ちゃん、勇也のふりをしてたの?」


しばらくの間が空いた後、大ちゃんはこちらに近づいてきた。


けれど、私はその質問に答える事が出来なくて。


ただ、もう遅いと分かっていながら首を振ることしか出来なかった。


大ちゃんは私の目の前まで来ると、そっと私の短い髪の毛に触れた。


「……大変だったんだね」


それは、先程私が彼に向かって言った言葉で。


「何が……」


藁にもすがる思いで、そう声に出す。


大ちゃんが、この件から身を引いてくれる事を願って。


けれど、大ちゃんは身を引かなかった。


「俺より、大変だったでしょう…?」


悲しそうに、そう呟いたのだ。



この短時間で、大ちゃんに全てがばれた。


私の秘密が、全て。


「こんなに、髪の毛も短くしちゃって…。俺が日本に居たら、こんな事になってなかったよな…」
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